2024年1月15日(月)の毎日新聞の記事に
「45都道府県で「採用予定数割れ」 公務員不足、急速に悪化」とあります。
記事では、
・採用予定数割れは土木職などの専門職を中心に発生
・10自治体は一般行政職でも採用が難しいと答えた
としています。
公務員人気が無くなっているということか…
離職率が上がっているという話も聞くし、公務員を続けることってどうなんだろう?
新卒の学生にとって公務員は「知られていない業界」ということはありません。
それでも就職先に選ばれなくなっているということは
相応の理由がありそうです。
そこでこの記事では、採用予定割れのニュースから
・公務員が新卒に避けられる理由
・現在の公務員に起こること
を解説していきます。
現在公務員の方にとって、自分を見直すきっかけになるはずだ。
是非最後までご覧いただきたい。
公務員が新卒に避けられる理由
ニュースに付いたコメントには、
現職・退職者を問わず
行政職員の実態について悲痛な意見が寄せられています。
元地方公務員です。
出所:Yahooニュース(45都道府県で「採用予定数割れ」 公務員不足、急速に悪化(毎日新聞))
地方サービスの多様化で仕事が増える一方で、人手不足かつ未だに紙媒体での作業でした。
コロナの時が地獄でした。
真面目に仕事をやっている人は仕事が増え、心を病んだり、早々に転職していきます。
全く仕事をしない人もいます。
その人達は辞めさせることも無く、同じか若手よりも多くの給料を貰っていたりします。
もはや名誉職と言っても良いくらい薄給でモチベーション維持が難しい職業だと思います。
名誉職と言いましたが、市民から疎まれ苦情の嵐で誰かのためになっていると思って公務員をしてる人は極一部でしょう。
安定職とはいえ、評価体系を変えていかないと優秀な人はどんどん離れていくでしょうね
給料はそう変わらないのに仕事ができると判断された人にどんどんふられて出来ない人ばかり簡単な定時上がりの仕事がふられる、残業代も予算があるので一定以上は支給されなかったりするのが現状です。
それでも年功序列で一応査定はあっても給料の上がり幅は低評価であっても大したマイナスではない。病気怪我など自分になにかあったときの保険になる程度で疫病や災害時など有事の際は家庭よりも行政優先で動かなければなりませんしそりゃ目指す人も減り質も低下するでしょうね。
出所:Yahooニュース(45都道府県で「採用予定数割れ」 公務員不足、急速に悪化(毎日新聞))
では、公務員(行政)が就職先として避けられるようになった理由は何でしょうか。
考えられるものを挙げてみよう。
理由1:民間企業の方が待遇が良い
理由の1つ目は、民間企業の方が待遇が良いことです。
専門職でも、医師・歯科医師以外は行政職とあまり変わらない給与体系です。
(医師・歯科医師も開業医に比べたら相当薄給)
また、採用時の区分が専門職でも
配属先のポジションによっては
行政職の給与体系が適用される場合もあります。
専門職だった私の上司は、
本庁ではなく出先に居るだけで年収が50万円高いと言っていた。
しかも、専門職といえ行政職員ですので
様々なことに対し起案・決裁を行う必要があります。
民間と比較して給与が劣るうえに
専門職としてのスキルアップをしにくい環境にあることが、
特に専門職での公務員の不人気化の原因と考えられます。
理由2:民間企業の方がキャリアを主体的に作りやすい
理由の2つ目は、民間企業の方がキャリアを主体的に作りやすいことです。
公務員から民間企業に転職しようとするとき
「民間経験がないこと」が転職の障壁になります。
公務員は「予算の配分」が仕事であるのに対し
民間企業では「予算(売上)の達成」が仕事であるからです。
この違いは、仕事に対する意識に現れます。
今思うと、行政の世界は良くも悪くも「おおらか」だった。
民間に移ると、
仕事のアウトプットが業績→収入に直結していることを痛感する。
そのことが、仕事に対する意識を変える。
新卒での就職先として、
最初に民間企業を選ぶ方が
競合企業への転職や、異業界への転職を実現しやすいため
新卒時の公務員不人気化につながっていると考えられます。
理由3:公務員は後でもなれる
理由の3つ目は、公務員には「後でもなれる」ことです。
まだまだ割合は少ないものの
行政も中途採用に力を入れるところが増えています。
大卒者等と同じ採用区分の場合は30歳頃まで
中途採用の場合は60歳ギリギリまで試験対象となっていることが多いです。
こうしたことから、新卒採用が重視される日本において
「貴重な新卒カード」を給与等の待遇で劣り
しかも、民間転職のハードルが高い公務員のために切る学生が少なくなっているのではないかと思います。
現在の公務員に起こること
採用者数の減少によって、現在公務員の方にとっては今後どんな事が起こるでしょうか。
こちらについても、いくつかの状況を検討してみよう。
更なる人手不足と環境・待遇の悪化
採用者が減ることで、更に人手不足が生じて
就労環境が悪化する可能性があります。
行政では頻繁に人事異動があることが原因で
中長期的にはメリットがあるが短期的には大変な改革が
起こりにくいです。
そのため、人手不足が生じたとしても
現在行われている(不要そうな)事業が縮小したり
人員削減がセットになった機械化による合理化は期待できないでしょう。
合理化と評価体系の見直しがどの程度行われるかが
働き手に選ばれるかの要点だと言える。
マネジメント経験がない30代・40代の増加・キャリアパスの硬直化
組織では上位の管理職から末端の担当者クラスまで
業務・役割を分業することで
円滑に仕事が行われています。
採用者数が予定に満たない場合でも
若手公務員が少ないからといって
30代・40代の職員をこれまで通り昇進させていては
頭でっかちな組織になり、実際に手と足を動かして仕事をする担当者がいなくなってしまいます。
この場合、
組織の階級別の構成比をピラミッド型に近づけるため
30代・40代の職員は以前と比較して昇進が後ろ倒しになることが考えられます。
昇進が遅れると
「40歳手前になっても、部下を持ったことがない」職員が増加します。
転職を考えると、結構厳しいんじゃないか?
年収を上げる転職をするなら
30代以降はマネジメント経験がないと難しいだろう。
部下を持ったことがない公務員が
例えば40歳手前で転職を考えた場合、
マネジメント経験のない、しかも公務員が採用される可能性は低いと考えられます。
また、仮に生涯公務員でいることを選んだ場合も
昇進の後ろ倒しは生涯賃金の面でも、これまでの想定を下回ってしまう可能性があります。
まとめ:早めに民間経験が必要な時代
今回は『45都道府県で「採用予定数割れ」公務員不足、急速に悪化」のニュースを基に、
・公務員が避けられる理由
・今後公務員に起こること
を解説しました。
行政の運営には、公務員が必要です。
人口が減少している以上、公務員の成り手も減って当然と言えます。
人口に併せて公務員が減らなければ、
日本を支えている、外貨を獲得する民間企業が縮小してしまう。
そして、公務員の成り手が減る以上は
行政の役割がより効率的・合理的に行われることが必要です。
個人的意見だが
「合理化が出来るか」が公務員の人材としての価値にも影響してくると思っている。
行政が効率化・合理化なされれば
関係した公務員も環境に変化に応じた施策を実績とすることができ
人材としての価値を見出すことも可能と考えられます。
しかし、合理化が進まなければ
「お荷物の業界」の人材として見られてしまいます。
旧態依然のやり方でしか仕事をしていない人の価値は
言うまでもありません。
とにかく、職業人生を充実させたい人にとって
「定年まで公務員でいること」は、博打な選択肢になってしまった。
そのため、職業人生を充実させたい公務員にとっては
勤め先の方向性や行政改革部局の動向をみて
「一度早めに民間セクターに移る」ことも有力な選択肢になってきます。
コメント