公務員が退職を考えてしまう要素3選

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この記事では公務員の退職に寄与する仕事上の要素を解説しています。
この記事をご覧いただくことで、以下のことが分かります。

この記事で分かること
  • 公務員の退職に寄与する要素
  • 公務員を辞める人の特徴
目次

公務員の退職に寄与する要素3選

「国家公務員の離職率は何%?|直近10年の傾向を解説」や「市役所・町村役場・区役所職員の離職率は高い?」のとおり、平成30年ころから徐々に離職率が上昇しています。

公務員を退職する理由は転職や心身の不調等が考えられます。では、そうした状況に至る原因は何なのでしょうか。

海外の研究(Hur & Abner(2023)の公共経営分野のメタ分析論文)に公務員・官僚の離職に寄与する要素を研究したものがあります。
※Hur, H., & Abner, G. (2023). What makes public employees want to leave their job? A meta-analysis of turnover intention predictors among public sector employees. Public Administration Review.

この研究では、離職に寄与する要素として特に以下の3つが強い相関があるとされています。

公務員・官僚の離職に寄与する要素3つ
  1. 燃え尽き・疲弊(Exhaustion)
  2. 役割の曖昧さ(Role Ambiguity)
  3. PSM(Public Service Motivation)の喪失

公務員の退職寄与する要素①:燃え尽き・疲弊

離職に最も強い相関があるとされたのが、燃え尽き・疲弊(Exhaustion)です。

日本の省庁でも、国会待機に代表されるように長時間労働が問題視されています。

日本の国家公務員は、残業時間(超過勤務)の上限について人事院規則で以下の4つが規定されています。

  • 1ヶ月100時間未満
  • 年間720時間以下
  • 2~6月平均80時間以下
  • 月45時間超は年6回まで

令和4年度に上記のいずれかの上限を超えた職員の割合は、人事院の報道発表「上限を超えて超過勤務を命ぜられた職員の割合等について(令和4年度)」で以下のとおり公表されています。

超過勤務の上限を超えた職員の割合(令和4年度)

一般職国家公務員:9.9%

(内訳 本省勤務の職員:25.5%、本省勤務以外の職員:6.6%)
※一般職国家公務員とは、特別職公務員以外の公務員。

国家公務員の10人に1人、本省勤務の場合4人に1人が過労死ラインに匹敵する労働時間となっているのが現状です。

労働時間のように数値に現れる疲労の原因もありますが、それ以外にも目に見えない行政実務の様々な慣習も疲弊の原因であると考えられます。

公務員の退職理由②:役割の曖昧さ

次に離職に強い相関があるとされたのが、役割の曖昧さ(Role Ambiguity)です。

役割が曖昧であると、自分の責任や役割が何であるか理解できなくなり、仕事に対するモチベーションが低下します。
さらに、自分自身の責任の範囲や業務量の見通しが不明瞭で、不安に感じることが考えられます。

また、曖昧な役割分担は、新規・突発的に生じた業務が能力のある人に集中しやすくしてしまうことも考えられます。

公務員の退職理由③:PSMの喪失

次に離職に強い相関があるとされたのが、PSM(Public Service Motivation)です。訳すと「全体の奉仕者としてのモチベーション」と言えるでしょうか。

公務員になる前は、民間企業の社員とは異なる全体の奉仕者としての立場に魅力を感じていても、実際に公務員として仕事をする中でPSMを喪失してしまうことがあるでしょう。

公務員を辞める人はどんな人?

離職に相関がある事項として、「燃え尽き」「役割の曖昧さ」「PSMの消滅」を紹介しました。
では、これらの要素を抱え、公務員を辞めていく人とはどういった人なのでしょうか。

公務員を辞めていくのは「優秀な職員」と考えられます。

「燃え尽き」「役割の曖昧さ」で離職を考えるのは、優秀な職員であると考えられます。
なぜなら、優秀な職員ほど業務量が多く困難な事業・制度を任されやすく、突発的な事象に対しても上司から対応を指名される機会が多いと考えられるためです。

また、勤続年数が増えても全体の奉仕者としての立場は特に変わりませんので、「PSM(Public Service Motivation)の喪失」が起こる背景は、経験とともに仕事に対する考えの変化があると考えられます。

その考えの変化とは「仕事に対し疑問を持ってしまうこと」です。

自分の担当している業務の意義を批判的に思考した結果、「世の中のためを謳っているが、実は世の中のためではないのでは」と思えてきてしまうのです。
仕事に対し疑問を持ってしまうことが多いと感じます。

離職に相関がある3つの事項「燃え尽き」「役割の曖昧さ」「PSMの消滅」を掘り下げると、辞めていく人というのは「優秀な職員」が多いのだろうと推測されます。

テンショクノヤクニン

燃え尽き等は、真剣に仕事に取り組まなければ起こりえない。真剣に取り組むからこそ、公務員以外にも活躍の場がある人材なのだろう。

まとめ:公務員が退職を考えてしまう要素3選

この記事では、公務員が退職を考えてしまう要素を解説しました。

公務員の離職に寄与する要素3つ

公務員の離職に寄与する要素

  1. 燃え尽き・疲弊(Exhaustion)
  2. 役割の曖昧さ(Role Ambiguity)
  3. PSM(Public Service Motivation)の喪失

公務員を辞める人とは

  • 燃え尽きや曖昧な役割に直面するのは、頼りにされている優秀な職員の可能性が高い
  • 受験当時に存在した志が、長時間労働や慣習に疲弊した結果失われるのでは

公務員が恐ろしいところは、人事異動ひとつで上述の「燃え尽き」「役割の曖昧さ」「PSMの喪失」に直面してしまう可能性があることです。いま良好な環境でも、近い将来にどうなるか全くわかりません。

公務員として働くことは経済的に一定の安定を得られますが、公務員として命ぜられる職務・環境は安定(落ち着いて穏やか)とは言い難いです。

このときに一人のビジネスパーソン(社会人)として持つべき手段が「転職」です。
勤め先の状況、自分自身の志向、身体的・精神的な体調等に応じて仕事を変えることができると、「公務員の待遇」に依存しなくて済みます。

しかし、公務員から民間への転職は、不可能ではないものの難易度が高いと言われています。

そのため、公務員から民間企業に転職を考える場合、公務員の支援実績のある転職エージェントに相談することが特におすすめです。
公務員の仕事は、公務員以外の人にはあまり理解されておらず、「何ができるか」「どんな経験をしたか」等を転職エージェントも十分に理解していない恐れがあるためです。

例えば、公務員におすすめの転職エージェント6選の記事で、公務員におすすめの転職エージェントを紹介していますので、気になる方は是非確認してみてください

テンショクノヤクニン

「安定」と言われる公務員でも、転職は当たり前の時代になっている。

公務員におすすめの転職エージェントは
こちらの記事で紹介しています▼

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