- 公務員の毎年の昇給の仕組み
- 公務員の毎年の昇給額と年収増加額の試算
公務員になれば安泰と思っていたけど、案外給料が上がらないんだよな…
若いうちは民間企業には敵わないけど、その後は上がるよね?
残業の増減によって
どのくらい昇給しているか分かっていない人も多いだろう。
実際に毎年どのくらい昇給するのか、確認してみよう。
現在公務員の方はもちろんですが
公務員への就職・転職を考えている人にも
「給料」は仕事を選ぶうえでの重要な項目です。
公務員の給料については
国・自治体のHPを閲覧すると色々な資料が掲載されています。
こうした資料から、毎年の昇給幅を推測することが可能です。
そこでこの記事では
公務員給料の昇給幅について自治体の例を基に解説していきます。
公務員になりたい方はもちろん
現在公務員の方も、今後のキャリアを考える上での参考になるはずだ。
現状を見直すためにも、是非最後までご覧ください。
公務員の毎年の昇給幅
公務員の給料の仕組み|埼玉県の例
公務員の月額給料は、
給料表(俸給表)上で
職位・経験年数等から決められた
「級」及び「号」に応じた金額です。
級は職位と、号は職位での経験年数と関係する。
毎年「号」が上がっていき、主に役職が上がるタイミングで「級」が上がる。
例として、埼玉県の給料を参考にします。
埼玉県庁職員の給与については「埼玉県の給与・定数管理等」のページで毎年の状況を確認することができます。
埼玉県職員の大卒初任給は
給料表(俸給表)上で
「1級29号級」とされています。
埼玉県職員の給与に関する条例「職員の給与に関する条例」で、1級29号級の給料月額は191,700円と定められています。
この大卒1年目の給料を基準に
毎年の昇給幅を見ていきます。
新卒2年目公務員の昇給幅|埼玉県の例
次年度の昇給幅は、勤務成績に応じて決まります。
埼玉県職員の勤務成績の区分は
以下のとおり、5段階(S~D)です。
S及びAが相対評価(課所員のSとA合わせて30%以内)、B以下は絶対評価です。
そのため、S~A以外の大半の人はBになることが予想される。
この5段階の勤務成績に対応した
給料表上の昇給の号数は、以下のとおりです。
規則の昇給区分と勤務の区分の表現を統合すると、
昇給号数は以下のとおり整理できます。
勤務成績 (昇給区分) | 昇給の号数 |
---|---|
S(一号該当) | 5号級以上 |
A(二号該当) | |
B(三号該当) | 4号級 |
C(四号該当) | 2号級 |
D(五号該当) | なし |
では、大卒1年目から2年目になる際の昇給幅を
給料表に当てはめて確認します。
なお、勤務成績S及びAの場合の昇給は5号級とします。
(実際問題、給与予算総額を抑制する観点から、5号級以上の昇給になる場合は多くないと思われます)
勤務成績 (昇給区分) | 昇給の号数 | 大卒1年目の昇給額 (最上位成績との差額) |
---|---|---|
S(一号該当) | 5号級 (規定は5号級以上) | +8,200円(0円) |
A(二号該当) | ||
B(三号該当) | 4号級 | +6,800円(▲1,400円) |
C(四号該当) | 2号級 | +3,500円(▲3,300円) |
D(五号該当) | なし | 0円(▲8,200円) |
勤務成績 (昇給区分) | 昇給号数 | 大卒1年目の昇給額 (最上位成績との差額) |
---|---|---|
S(一号該当) | 5号級 以上 (規定は5号級以上) | (0円) | +8,200円
A(二号該当) | ||
B(三号該当) | 4号級 | (▲1,400円) | +6,800円
C(四号該当) | 2号級 | (▲3,300円) | +3,500円
D(五号該当) | なし | (▲8,200円) | 0円
成績評価が良い場合(SまたはA)で8,200円
普通の成績(B)でも6,800円昇給します。
SとBでは明らかに職員の能力・成果に差があると思うけど、それでも月1,400円の違いなのか…
大多数の給料を僅かに減らし、一部の優秀層にちょっと上乗せする…これが現実だ。
降格・降給がない成果主義は、優秀層に配分する財源が生まれない。
この程度の反映が限度ということだ。
「B」以下の成績は分布制限なしの絶対評価ですので
勤務成績「C」「D」は余程のことがない限り付かないと考えられます。
ですが、仮に成績が「C」でも、3,500円は昇給します。
なお増額幅は、埼玉県の「職員の給与に関する条例」を参照すると
昇進して「級」が上がると大きくなる傾向にあるものの、4号級昇給の増額幅は最大でも1万円程度でようです。
公務員が昇格した場合の給料増額幅
次に、昇格し「級」が上がった場合を想定してみます。
例として、大卒1年目~9年目を以下の通り昇格した場合を想定します。
【昇格までの年数】※
・1年目~4年目:1級
・5年目~8年目:2級
・9年目 :3級
※昇格後の級数は、埼玉県「初任給、昇格、昇給等の基準に関する規則」(昭和46年3月1日人事委員会規則第7号の221)による。
【毎年の昇給幅】
「4号級」とする。
この条件で試算すると、次のようになります。
勤続年数 | 号俸 (級‐号) | 【A】 月額給料 (対前年増加額) | 【B】 地域手当 (給料の8.3%) | 【=(A+B)*(12+4.3)】 年収試算 (対前年増加額) |
---|---|---|---|---|
1年目|23歳 | 1-29 | 191,700円 (‐) | 15,911円 | 3,384,059円 (‐) |
2年目|24歳 | 1-33 | 198,500円 (+6,800円) | 16,475円 | 3,504,092円 (+120,033円) |
3年目|25歳 | 1-37 | 204,200円 (+5,700円) | 16,948円 | 3,604,712円 (+100,620円) |
4年目|26歳 | 1-41 | 209,300円 (+5,100円) | 17,371円 | 3,694,737円 (+90,025円) |
5年目|27歳 | 2-9 | 212,400円 (+3,100円) | 17,629円 | 3,749,472円 (+54,735円) |
6年目|28歳 | 2-13 | 219,200円 (+6,800円) | 18,193円 | 3,869,505円 (+120,033円) |
7年目|29歳 | 2-17 | 226,100円 (+6,900円) | 18,766円 | 3,991,315円 (+121,810円) |
8年目|30歳 | 2-21 | 232,200円 (+6,100円) | 19,272円 | 4,098,993円 (+107,678円) |
9年目|31歳 | 3-5 | 240,300円 (+8,100円) | 19,944円 | 4,241,977円 (+142,984円) |
勤続年数 | 号俸 (級‐号) | 【A】 月額給料 (対前年増加額) | 【B】 地域手当 (給料の8.3%) | 【=(A+B)*(12+4.3)】 年収試算 (対前年増加額) | 勤続年数 (再掲) |
---|---|---|---|---|---|
1年目 23歳 | 1-29 | 191,700円 (‐) | 15,911円 | 3,384,059円 (‐) | 1年目 |
2年目 24歳 | 1-33 | 198,500円 (+6,800円) | 16,475円 | 3,504,092円 (+120,033円) | 2年目 |
3年目 25歳 | 1-37 | 204,200円 (+5,700円) | 16,948円 | 3,604,712円 (+100,620円) | 3年目 |
4年目 26歳 | 1-41 | 209,300円 (+5,100円) | 17,371円 | 3,694,737円 (+90,025円) | 4年目 |
5年目 27歳 | 2-9 | 212,400円 (+3,100円) | 17,629円 | 3,749,472円 (+54,735円) | 5年目 |
6年目 28歳 | 2-13 | 219,200円 (+6,800円) | 18,193円 | 3,869,505円 (+120,033円) | 6年目 |
7年目 29歳 | 2-17 | 226,100円 (+6,900円) | 18,766円 | 3,991,315円 (+121,810円) | 7年目 |
8年目 30歳 | 2-21 | 232,200円 (+6,100円) | 19,272円 | 4,098,993円 (+107,678円) | 8年目 |
9年目 31歳 | 3-5 | 240,300円 (+8,100円) | 19,944円 | 4,241,977円 (+142,984円) | 9年目 |
以上のとおり、
毎年の月額給与の増加額は、3,100円~8,100円
年収換算で5万円~14万円の増加でした。
年収は、住宅手当や基本給に単価が連動する時間外手当(残業代)の支給があれば、さらに増加する。
勤務成績が毎年同じでも
給料表の仕組み上、
毎年の増額幅に2倍以上の差が生じることがあるようです。
例えば…
毎年の昇給額を15万円とすると、
年収330万円からスタートして
勤続30年で15万円×30年=450万円、
つまり年収780万円だ。
これを見て、どう思うかだな。
公務員の昇給額はいくら:まとめ
今回は、公務員の昇給額について解説しました。
勤務成績にもよりますが、月額給料で3,000円~8,000円程度の昇給、年収で10万円前後の昇給となるようです。
多いと感じる、少ないと感じるかは人それぞれだ。
公務員の給与は
各年齢における平均的な生活(家族構成や進学等のライフイベント)を想定し
「ギリギリ生活できる」水準にしていると聞いたこともあります。
ですが、世間では「公務員は安定」と言われます。
少なくとも「給与が支給される」点については相当程度確実だと言えますが、
その給与で「やりたい事」が実現できるかは、別問題と言えそうです。
なんだか期待外れかも…
副業は基本的に認められないし、収入を上げるにはどうしたら良いんだ!!
現実的には、転職が収入を上げる有力な手段だ。
公務員は兼業(副業)が禁止されています。
そのため、公務員が昇給以外で収入を上げる方法は
- 株式等への投資
- 不動産投資
- 転職
におそよ収束します。
「①株式等への投資」と「②不動産投資」は
まとまったリターンを得るためには
一定規模の資金が必要です。
また、「①株式等への投資」と「②不動産投資」は
運用結果によって
損失を被る可能性もあります。
一方で、転職はそれによって金銭が出ていくことはありません。
「公務員からの民間転職は無理」とか「年収が下がる」って聞くけど…
気にする必要はない。
なぜなら
年収が下がる企業には転職しなければ良いのです。
企業と求職者は対等。内定しても辞退する権利がある。
- 現状の収入に不満がある
- 年収を上げたい
という方は、転職を考えてみることがおすすめです。
「公務員から民間企業に転職するメリット・デメリット」の記事では、公務員から転職する場合にどういったメリット・デメリットがあるのかを整理しています。
また、「公務員から民間企業に転職する10ステップ」の記事では、公務員が転職する方法を詳細に解説しています。
転職を少しでも考えている公務員の方は、是非これらの記事を参考にして転職を実現してください。
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