- 国家公務員の「本当の」離職率
- 国家公務員の直近10年間の離職率
霞が関の省庁に勤務する国家公務員にあこがれるけど、最近は「霞が関離れ」なんて言うし、離職率が気になるな…
公務員から転職したいと思うけど、辞めていく人はあまりいないし…どのくらい辞めているのか知りたい。
それでは、国家公務員の「本当の」離職率を解説していこう。
転職先や就職先に公務員を考えたとき、離職率も当然気になりますよね。
また、現在国家公務員の方も転職を考えるときの情報として、自分の職場の離職率は参考になります。
離職率が高い職場は、他の職場と比較して「劣っている何かがある」ことを示しています。
この記事では、国家公務員の離職率を公表されているデータからピックアップしてご紹介します。
この記事は、こんな方におすすめです!!
- 国家公務員への就職・転職を考えている方
- 転職を考えている国家公務員の方
国家公務員、特に霞が関の省庁に勤める公務員の労働環境は、しばしば話題になります。
そのいずれもが、厳しい環境であることを述べています。
こうした意見・報道等に対し「そうは言っても、どれくらいの人が辞めたのか」を「離職率」で検証することは有効です。
公務員への転職・就職を検討している方は、必ず参考になりますので、是非最後までご覧ください。
イメージにとらわれず
実際の数字を見て判断しよう。
参考:民間企業の離職率は11%
厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果の概要」によると、令和4年1年間の「個人的理由」による離職率は11.0%です。
※個人的理由:「結婚」「出産・育児」「介護・看護」及び「その他の個人的理由」
これを参考に、国家公務員の離職率を見ていこう。
国家公務員の離職率は「7%」!?
公務員白書を調べると、令和4年度年次報告書に以下の記述があり、7.3%とされています。
離職率(令和3年1月15日現在の在職者数に対する令和3年度中の離職者数の割合)は、
公務員白書 令和4年度年次報告書(第1編-第3部-第1章-第3節2「一般職の国家公務員の任用状況調査」の実施)
給与法適用職員で7.3%、行政執行法人職員で6.1%、全職員で7.5%(男性7.8%、女性6.2%)となっている。
7.3%ってことは、30人の課だったら毎年2人は辞めるのか…
結構高い気がしてしまうな
だがこれにはカラクリがある。
そうなの?
この離職率は
よく見ると「定年退職」の数が含まれている。
この国家公務員全職員の離職率7.3%の計算には、退職者の値に「定年退職者」が含まれています。
他にも、地方自治体等との定例的な人事交流による出向者・帰任者も「在職者」「退職者」に含まれています。(毎年4,000人程度)
一般的に「職場環境を推し量るために用いる離職率」は、定年退職を含まないだろう。
そのため、公務員白書の値を詳しく確認していくことにしましょう。
本当の国家公務員の離職率
より実態に近くなるように、計算に用いる在職者と退職者を以下のとおりとします。
【在職者】
「公務員試験による任用者」※地方自治体等からの出向者を除く
【退職者】
辞職者(定年退職・懲戒免職等を除く値)
※参照:公務員白書 令和4年度年次報告書
国家公務員試験で国家公務員になった者のうち、自ら辞職を申し出た人の割合だ。
以上のとおり計算したところ、令和3年度の国家公務員の離職率は2.2%でした。
定年退職などを除くと、かなり低い離職率になったね。
過去10年の国家公務員の離職率
過去10年の国家公務員の離職率は以下の通りです。
試験で採用された国家公務員の離職率は、1%台後半から2%台前半で推移しています。
若干ながら、離職率は上昇傾向にあります。
平成24年度から令和3年度の10年間で、離職率は1.7%→2.2%と0.5%上昇しています。
(令和2年度の減少は、新型コロナウィルス感染症によって転職市場が停滞したことなどが考えられます)
【a】 | 【b】 | 【c】 | 【d】 | 【e=c/a】 | 【f=d/b】 | |
年度 | 在職者 (注2) | 試験任用による在職者(注3) | 離職者 (注4) | 辞職による離職者(注5) | 離職率 | (試験任用者の辞職による) | 離職率
H24 | 337,091 | 234,092 | 20,135 | 4,082 | 6.0% | 1.7% |
H25 | 336,058 | 235,612 | 21,465 | 4,119 | 6.4% | 1.7% |
H26 | 337,922 | 235,305 | 22,277 | 4,245 | 6.6% | 1.8% |
H27 | 278,107 | 234,826 | 16,935 | 4,130 | 6.1% | 1.8% |
H28 | 278,581 | 234,755 | 17,205 | 4,057 | 6.2% | 1.7% |
H29 | 279,463 | 235,244 | 17,547 | 4,127 | 6.3% | 1.8% |
H30 | 279,982 | 236,127 | 18,164 | 4,507 | 6.5% | 1.9% |
R1 | 281,427 | 236,861 | 19,230 | 4,829 | 6.8% | 2.0% |
R2 | 282,882 | 237,099 | 19,643 | 4,382 | 6.9% | 1.8% |
R3 | 284,105 | 237,786 | 21,171 | 5,167 | 7.5% | 2.2% |
(注1)各年度の公務員白書年次報告書に掲載の『「一般職の国家公務員の任用状況調査」の実施』に掲載の数値より作成
(注2)在職者:給与法適用職員のほか、任期付き職員、行政執行法人職員を含む。また、いずれも試験任用以外の者を含む。
(注3)試験任用による在職者:在職中の給与法適用職員のうち試験任用による職員
(注4)離職者:辞職のほか、定年退職、任期満了、分限処分等を含む全ての離職者
(注5)辞職による離職者:辞職の承認による退職者。表中の値には人事交流による派遣・帰任による辞職を含まない。
こうして見ると、緩やかだが離職率上昇傾向にある。
しかしながら、いくら「霞が関離れ」と言われていても、民間企業と比較すると離職率は低いことがわかります。
それでも、「国会関係の待機の長さ」「冷房・暖房の効きの悪さ」は評判のとおりだ。
職場としての国家公務員は魅力的か?
離職率が上昇傾向にあるとは言え、民間の値と比較しても低い水準です。
そのため、現状では「離職率が高いブラックな職場」という評価ではなく、官から民への人材流出が起こっていると考えることが現実的です。
優秀なビジネスパーソンは転職によってキャリアアップを図ることが可能であるため、国家公務員から出ていくことは仕方ない側面があります。
しかし、現在の公務員の採用事情は、公務員志願者が減っているのが実情です。
すなわち、「人が出ていくが入ってこない」状況になっています。
優秀な人が辞めても優秀な人が入ってくれば組織として回りますが、採用に苦慮する状況です。
そのため、就職希望者や現職公務員の中には、民間企業と比較して優れた選択肢と思われていないのが現状と言えます。
20代のほか、30代前半の中堅職員の退職が増えていると感じている人が多い。
まとめ:国家公務員の離職率は上昇傾向
この記事では、国家公務員の離職率の現状と背景について解説しました。
- 現在の離職率は2.2%
⇒民間企業(R4:11.0%)と比較すると国家公務員の離職率は低い
- 直近10年間の離職率は上昇傾向にある(H24年度1.7%→R3年度2.2%)
⇒転職する人が増えている?
国家公務員の離職率が徐々に上がっている背景として、民間への人材流出が始まっていると考えられます。その背景には、職員の疲弊や全体の奉仕者としての意欲の喪失があると推測されます。
現在公務員の方も、いつか転職を考える可能性が十分にあります。
しかし、公務員から民間への転職は、不可能ではないものの難易度が高いと言われています。
そのため、公務員から民間企業に転職を考える場合、公務員の支援実績のある転職エージェントに相談することが特におすすめです。
公務員の仕事は、公務員以外の人にはあまり理解されておらず、「何ができるか」「どんな経験をしたか」等を転職エージェントも十分に理解していない恐れがあるためです。
例えば、公務員におすすめの転職エージェント6選の記事で、公務員におすすめの転職エージェントを紹介していますので、気になる方は是非確認してみてください。
「安定」と言われる公務員でも、転職は当たり前の時代になっている。
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