市役所・町村役場・区役所職員の離職率は高い？｜指定都市・市・町村・特別区の離職率推移と原因を解説

普段仕事をしていると
自分の職場の離職率を気にすることは
ないかもしれません。

例えば知らないうちに
自分の職場の離職率が上がっていたらどうでしょうか？

待遇はもちろん、自分自身の成長可能性や
キャリアプランから公務員を辞める選択をする人もいます。

この記事では、
市区町村役場職員の離職率をご紹介します。

公務員からの転職を考えている方は、
自分の職場の現状を把握することの参考にしてみてください。

もちろん、公務員への転職・就職を検討している方も、是非ご覧ください。

参考：民間企業の離職率は「11%」

厚生労働省「令和４年雇用動向調査結果の概要」によると、
令和４年１年間の「個人的理由」による離職率は11.0％です。

※個人的理由：「結婚」「出産・育児」「介護・看護」及び「その他の個人的理由」

市区町村役場職員の離職率

令和３年度の市区町村役場職員の離職率は1.75%です。

事務職公務員（一般行政職員）では1.25%です。

（離職率計算の前提条件等について）
・地方公務員の退職者数は、総務省が毎年実施している「地方公務員給与実態調査」で公表されています。
・「地方公務員給与実態調査」は記事執筆時点で令和4年度版（調査期間：令和3年度）が最新で、これを用いています。
・離職率の計算式は、次のとおりです。
　離職率＝職員数÷自己都合による退職者数
・職員数：第３表「b」列（一般職員）、「c」列（一般行政職員）、「n」列（技能労務職員）、「r」列（教育公務員）
・自己都合による退職者数：「第９表の１」の「自己都合＞人員（「へ」列）」。定年退職や定年前の勧奨退職は含まない。

行政では他機関との人事交流での派遣に際し、形式的に退職手続を行うことがあります。こうした退職も統計上退職者に含まれるため、形式的な離職率は高く算出されるのです。

職場環境を把握する指標としての離職率は、定年退職を含まないことが一般的ですので、上記の離職率には、定年退職等は含んでいません。

過去5年の市区町村役場職員の離職率

過去5年の市区町村公務員の職種別離職率は以下の通りです。
「一般職員」や事務系公務員である「一般行政職員」では、過去5年の離職率は上昇傾向にあります。

全職員

年度	H30	R元	R2	R3	R4
指定都市	1.57%	1.51%	1.46%	1.22%	1.75%
市	1.58%	1.66%	1.75%	1.67%	1.91%
町村	1.60%	1.79%	1.93%	1.76%	2.04%
特別区	0.97%	1.13%	1.21%	1.24%	1.35%

一般職員

年度	H30	R元	R2	R3	R4
指定都市	1.22%	1.03%	0.99%	1.12%	1.23%
市	1.57%	1.65%	1.75%	1.67%	1.91%
町村	1.60%	1.80%	1.93%	1.76%	2.02%
特別区	0.89%	1.02%	1.11%	1.15%	1.26%

一般職員のうち一般行政職員

年度	H30	R元	R2	R3	R4
指定都市	0.51%	0.65%	0.64%	0.75%	0.92%
市	0.82%	0.91%	1.01%	0.94%	1.19%
町村	1.39%	1.50%	1.76%	1.59%	1.83%
特別区	0.84%	1.04%	1.12%	1.25%	1.30%

一般職員のうち技能労務職員

年度	H30	R元	R2	R3	R4
指定都市	0.30%	0.26%	0.31%	0.16%	0.29%
市	0.67%	0.61%	0.55%	0.46%	0.65%
町村	1.15%	0.92%	1.13%	0.93%	1.30%
特別区	0.32%	0.35%	0.35%	0.24%	0.25%

教育公務員

年度	H30	R元	R2	R3	R4
指定都市	2.20%	2.39%	2.32%	1.40%	1.68%
市	1.91%	1.82%	1.72%	1.63%	2.01%
町村	1.89%	1.83%	1.96%	2.25%	2.85%
特別区	4.86%	7.25%	7.07%	5.91%	6.97%

（離職率計算に用いた資料等について）
・参照：総務省「地方公務員給与実態調査」
・離職率の計算式は、次のとおりです。
　離職率＝職員数÷自己都合による退職者数
・職員数：第３表「b」列（一般職員）、「c」列（一般行政職員）、「n」列（技能労務職員）、「r」列（教育公務員）
・自己都合による退職者数：「第９表の１」の「自己都合＞人員（「へ」列）」。定年退職や定年前の勧奨退職は含まない。

職場としての行政は魅力的か？

離職率が上昇傾向にあるとは言え、民間の値と比較しても低い水準です。
そのため、現状では「離職率が高いブラックな職場」という評価ではなく、官から民への人材流出が起こっていると考えることが現実的です。

優秀なビジネスパーソンは転職によってキャリアアップを図ることが可能であるため、国家公務員から出ていくことは仕方ない側面があります。
しかし、現在の公務員の採用事情は、公務員志願者が減っているのが実情です。
すなわち、「人が出ていくが入ってこない」状況になっています。

優秀な人が辞めても優秀な人が入ってくれば組織として回りますが、採用に苦慮する状況です。
そのため、就職希望者や現職公務員の中には、民間企業と比較して優れた選択肢と思われていないのが現状と言えます。

まとめ：市区町村役場職員の離職率は「低い」

この記事では、市区町村職員の離職率を解説しました。

民間企業が11%ですので、市区町村職員の離職率は比較的「低い」と言って良いでしょう。

離職率が徐々に上がっている背景として、民間への人材流出が始まっていると考えられます。その背景には、職員の疲弊や全体の奉仕者としての意欲の喪失があると推測されます。

現在公務員の方も、いつか転職を考える可能性が十分にあります。

しかし、公務員から民間への転職は、不可能ではないものの難易度が高いと言われています。

そのため、公務員から民間企業に転職を考える場合、公務員の支援実績のある転職エージェントに相談することが特におすすめです。
公務員の仕事は、公務員以外の人にはあまり理解されておらず、「何ができるか」「どんな経験をしたか」等を転職エージェントも十分に理解していない恐れがあるためです。

例えば、公務員におすすめの転職エージェント６選の記事で、公務員におすすめの転職エージェントを紹介していますので、気になる方は是非確認してみてください。