「すれ違い答弁」の病|公務員は話をかみ合わせない|転職・スキルアップの注意点も解説

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悩める公務員

面接の練習をしていたら「質問に端的に答える」ようにアドバイスを受けど、どうして出来ていないんだろう?

テンショクノヤクニン

公務員を続けていると、知らないうちに
クセになっているかもしれないな。

「行政」の仕事に触れる機会の一つが「国会のテレビ中継」です。

国会をはじめとした議会では

・「質問者からの質問に答えない」
・「質問に登場していない事項を話題に答弁する」


といった場面を見ることがあります。

テンショクノヤクニン

よく聞いていると「質問に答えてないじゃん」と思うことがあるはずだ。

これを行政では「すれ違い答弁」と呼んでいます。

「すれ違い答弁」は、行政(執行部)にとってストレートに答弁できない何らかの事情がある場合などに行われます。

しかし、それよりも「すれ違い答弁」のテクニックは公務員個人にとって悪影響があります。

そこでこの記事では、以下のことを解説します。

この記事で分かること

・「すれ違い答弁」の例
・「すれ違い答弁」の公務員個人に対する悪影響
・現役公務員ができる「すれ違い答弁病」の予防策

この記事は、こんな方におすすめです。

・自分のスキル、強みを見直している公務員の方
・転職を視野に自己分析をしている方
・転職活動中の公務員の方

「すれ違い答弁」は議論を意図的にかわす効果がありますが、真意は「批判」「面倒」を避けることです。

社会にとって、個人にとって良いことかというと、筆者はそうは思えません。

「すれ違い答弁」の悪影響を解説していますので、是非最後までご覧ください。

目次

「すれ違い答弁」というテクニックがある

「すれ違い答弁」とは「質問者の質問にあえて回答しない」ことです。

例を挙げてみます。ある地方議会本会議での一般質問です。

一期目新人議員

A分野において、
b施策を実施することが必要と考えるが見解を伺う。

部長

A分野の問題は非常に重要と認識しているので、
c施策を引き続き実施して参ります。

(以上はフィクションです)

質問者は
A分野において「b施策を実施すべき」との考えから
「b施策の実施有無・予定」を尋ねています。

しかし、執行部の担当部長は
「b施策の実施有無・予定」には回答していません。

普通であれば、

部長

b施策を実施する予定はありません。
b施策は諸外国の研究で○○や○○といった懸念・課題が報告されており…

とか

部長

ご指摘のとおり、b施策はA分野の課題に対し有効と考えられるので実施を検討したい。

と、なるはずです。

つまり、主たる投げかけである
「b施策をやる・やらない」が
行方不明になっているのです

これには、「b施策は明らかにやる必要がない」ことを直接的に答弁すると、
議員のメンツが潰れてしまうことへの配慮の一面もあります。

実際に答弁を作る現場では、例えば以下のようなやり取りが行われたりします。

悩める公務員

b施策は他自治体の事例を見ても目立った効果がないのに、また質問してくるのか…

悩める公務員

部長!バッサリ行きましょう!

部長

でもあの会派の大物先生を刺激したくないから、うちはc施策なんだと言っておきましょう。

(以上はフィクションです)

しかし、聞いている側にとっては、チグハグなやり取りに感じてしまいます。

勤続とともに染みつく「すれ違い答弁」の悪影響

業務の停滞・コミュニケーション不全を引き起こす

「すれ違い答弁」は、議員の顔を立てたりする一面があることを説明しました。

「すれ違い答弁」は担当部局の職員が作成することになりますが、「すれ違い答弁」を作成する職員個人にとってもデメリットがあります。

テンショクノヤクニン

個人にとってのデメリットは
結構深刻だ。

それは「すれ違い答弁が癖になってしまう」ことです。

例えば、部内の打合せ等で

・「答えがすぐに分からない」
・「実績が出ていない」

といった「少々バツの悪いこと」について聞かれた場合に、質問に対して答えずに、的外れなコメントをしてしまうことです。

すれ違い答弁の癖は、
上司・部下とのコミュニケーションを阻害します。

話をしても不完全燃焼に終わります。
上司は部下の担当業務の状況がイマイチ把握できなくなります。

悩める公務員

確かに職場の人って、
ハッキリ言う人があまりいないかも…

テンショクノヤクニン

筆者の感覚では
この傾向は勤続年数の長い管理職に多い。

筆者の感覚では、
この傾向は勤続年数の長い管理職に多かったように思います。
また、若手公務員でも、稀にこの傾向がある人がいました。

しかし、彼らは管理職に昇進しているのですから、
公務員の管理職には、時に
『あきらかに良からぬ臭いを発する箱にも「蓋」をし続ける』
ことが必要なのかもしれません。

テンショクノヤクニン

筆者は大学時代はディベートに取り組んでいたこともあるので
正直うんざりしていた。

公務員個人の「市場価値」を崩壊させる

「すれ違い答弁」が染みつくことで懸念されるのが、
行政以外では使えない人物になってしまうことです。

まず、「すれ違い答弁」が染みついたら採用面接に通りません。
打合せでも、何かしら言いにくいことがあると論点を外してしまいます。

足を引っ張り、業務の進捗を停滞させます。

しかし、こうしたマインドでも
公務員を続ける限り、周りもその傾向があるので何とかなってしまいます。

担当業務の進捗が芳しくなくても、
数年の人事異動で自分自身が抱える懸案がリセットされるので、
何とかなってしまうのです。

気付く頃には、
公務員以外では働くことは困難かもしれません。

テンショクノヤクニン

議員・議会との関係を壊さないことは重要だ。
そのための「すれ違い答弁」は仕方がない面もある。

テンショクノヤクニン

だが、「すれ違い答弁」はその場限りにして、
職員個人として使うようになってはいけない。

現役公務員ができる予防策

予防策1:答弁を書く時はまず「正面から論破する」

要は、はじめから「すれ違い答弁」を書かなければよいのです。

内々に入手した質問原稿にペンを入れていき、
正面からツッコミを入れていきます。

先ほどの例(分野Aにおいて、b施策を実施することが必要と考えるが見解を伺う)を基にすると

【b施策実施の課題】
・国の研究資料で諸外国の研究で○○といった課題が示されている
・受益者のモラルハザードを引き起こす可能性がある
・効果測定が困難である

といった具合です。

その後で
「答弁者(幹部職員)の立場からすると、これは言えないよな」
という箇所を削っていくようにしましょう。

こうすることで、
少なくとも自分の「論理に反論する力」は発揮させることができます。

予防策2:ロジカルシンキング・論理トレーニングが欠かせない

一種の職業病とも言える「すれ違い答弁」に染まらないためには、
自らロジカルシンキングの訓練、
論理トレーニングを行うことも有効です。

悩める公務員

セミナーとかを受講しないといけないの?

テンショクノヤクニン

まずは、書籍で十分だ。
おすすめの本を紹介しよう。

セミナーや講座を受講してもよいですが
定期的な見直しのコストを踏まえると、
ここは書籍に頼ることがおすすめです。

ロジカルシンキング及び論理トレーニングが学べる書籍をいくつかご紹介します。

ロジカルシンキング

ロジカル・シンキング

「ロジカルシンキング」本の名著。
ロジカルシンキングについては他にも多くの書籍がありますが、
その源流はこの本ではないかと思っています。

論理トレーニング


入門!論理学 (中公新書)

論理学の導入はこの新書を。
筆者は野矢先生の本で論理学を学んだので、以下同著者の本が続きます。

新版 論理トレーニング

論理トレーニング101題

まとめ

今回は行政の生活習慣病「すれ違い答弁」について取り上げました。

「面子」ばかりを意識し、
社会への還元がなされないのであれば本末転倒です。

研究された質の高い議会質問がなされ、
有意義な質問答弁が行われることが必要です。

しかしその反面、行政に身を置いた者として、
政治は魑魅魍魎の世界であることも理解しています。

そのため、円滑な行政運営のために「すれ違い答弁」はやむ得ないとも思います。

ですが、公務員個人が「すれ違い答弁」の病に冒されて
他では通用しない人物になってしまうのは勿体ないと思います。

紹介した書籍を参考に、論理的に考えることを忘れないようにしてもらえたら嬉しいです。

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