「公務員の武器」シリーズでは、公務員が転職するときにアピールに使えるビジネススキルを紹介しています。
第5回目は「ライティング」です。
仕事ではコミュニケーションの多くを「書き言葉」で行います。
「書き言葉」を使用するメール・チャットは、情報の保存しやすさ・正確性に優れており、古くから「手紙」「文書」の形式で盛んに活用されています。
近年ではリモートワークの普及や「相手の時間を奪わないコミュニケーション手段」としてチャット・メールがビジネスパーソンに好まれている等の背景から、ライティングスキルは注目されています。
その「ライティング」について、この記事を読むと以下のことがわかります。
・ライティングスキルの重要性
・公務員のライティングスキル
・転職活動でのライティングスキルのアピール方法
この記事は、こんな方におすすめです。
・公務員を続けることに迷いがある人
・公務員から民間企業への転職を考えている人
・転職をしたいが、アピールするスキルが分からない人
ライティングとは
ライティングとは「特定のターゲットに」「特定の意図を伝える目的で」「文章を書く技術」のことです。
仕事では、日々大量のメール・チャットが届きます。
そのため、相手から速やかにレスポンスをもらい仕事を進めるためには、読み手に文章の内容を
理解してもらう必要があります。
以上から、ライティングは「読み手の誤解を招かない」、「文章が平易で読みやすい」文章を書くことと言えます。
最近では、相手の時間を奪わない連絡手段として、メール、ビジネスチャットが見直されています。
ライティングは、今日においても仕事をすばやく進めるために必要なスキルと言えます。
チャットをもらっても意図が分からず、面倒に感じてしまう人はいるな…
「自分の書いた文章を読んでもらう」ことは、案外シビアです。
読みにくければ、関わるのが面倒に感じられてしまいます。
だからこそ、細かいところまで意識した経験は役に立つはずです。
公務員がライティングを活用している場面
公務員がライティングのスキルを活用している場面はどんな場面があるでしょうか。
照会、依頼文書の発信時
照会文書、依頼文書等、資料の提出を求める文書でライティングスキルを活用しています。
照会文書等は通常、照会元が用意した様式に必要事項を入力してもらうことが多いです。
このとき、照会に回答するため作業する人は、照会文書の内容を頼りに作業をします。
そのため、依頼・照会文書を発出するときには
「依頼の背景」「回答内容の使途」を明らかにして作業について理解を求め、
「何をする必要があるのか」「期限」「回答方法」「様式の有無」等を、
文書上で分かりやすく表現することを行っています。
多数に対して文書を送付する経験をすると、
「この部分はどういう意味か分からない」
「例示されたもの以外の回答方法が書いていない」等
回答者の立場では、どういった情報が必要かを理解できます。
このことにより、発信者として気を付けるべきことが身につき、よりわかりやすい文書を作成することが出来るようになります。
たまに「日本語かコレ?」と思う照会が来るけど
正直相手にしてられないと思うわ。
起案するとき
文書の発出や、要綱の制定等を起案するときの説明資料でもライティングスキルを活用しています。
「なぜ起案するのか」「根拠条文は」「改正内容と改正理由」「対応方法」等、案件に応じて過不足なくまとめる必要があります。
起案文書上で簡潔な説明ができないと、何度も決裁が差し戻しになったり、決裁者への説明が必要になるなど時間を要してしまいます。
自分自身は担当者として把握していることでも、決裁権者は細かいことまで分からないものです。
読み手を意識して、意思決定の材料を過不足なく揃えて文書上で説明できる必要があります。
過去の担当者の文書を見ると
「なぜこの案件が生じたのか」
「なぜこの処理方法をするのか」が書いておらず
「○○としてよいか伺います」としか書いていないものも多いな。
その場限りのことを考えれば、それが一番省エネですよね。
ただし、仕事は後々自分以外の誰かに引継ぎます。
その時のためにも、文書さえ見れば背景が分かるように心がけたほうが良いですね。
議会答弁案の作成時
議会答弁案を作成するときにもライティングスキルを活用しています。
議会答弁は施策の内容・方向性の公式見解になります。そのため、使った言葉が意図しない意味に解釈されないように特に注意を必要とします。
また、答弁内容は「読まれるものではなく」基本的に「聞かせる」ものです。そのため、修飾語と被修飾語の位置関係を近くしたり、文頭に枕詞(クッション言葉)を使い話の道筋を分かりやすくする工夫が必要です。
議会答弁は制限時間の都合から文字数の制約があるので
コンパクトに文章をまとめる訓練になったわ。
転職でのアピール方法
「ライティング」だけでは分が悪い
ビジネススキルとしての「ライティング」は一般的な文章作成を指すもの以外に、webページ上で購入へ誘う「セールスライティング」や、検索サイトで上位表示させるための「SEOライティング」等があります。
「セールスライティング」「SEOライティング」は昨今需要のあるスキルですが、一般的な文章作成スキルとしての「ライティング」は決め手に欠く印象です。
的確で論理的な文章を書ける「ライティングスキル」は基本的なビジネススキルであり、仕事に必要不可欠です。
しかし、一般化されたビジネススキルのため、言い方を変えた方が良いかもしれません。
「ロジカルシンキング」とセットでアピール
的確で論理的な文章を書くためには、書く内容の整理が出来ている必要です。
論点(議題・問題)、根拠(理由・背景・基準)、主張(結論・判断・意見)の関係性を明確にし、筋道を立てる必要があります。
すなわち、論理的な文章を書くためには「ロジカルシンキング」のスキルが必要なのです。
「思考」のスキルであるロジカルシンキングと、「アウトプット」のスキルであるライティングをセットでアピールすると良いでしょう。
職務経歴書・履歴書に細心の注意をする
企業の担当者が、あなたのライティングスキル・文章力を初めてチェックするのはどのタイミングでしょうか。
それは、転職サイト・転職エージェントから提供される職務経歴書や履歴書です。
面接の場でライティングスキルをアピールしても、職務経歴書の文章が読みにくくては説得力の欠片もありません。
そのため、まずは職務経歴書・履歴書の文章に注意を払い、転職エージェント等にもチェックしてもらうことで、「簡潔かつ論理的で読みやすい文章を書く人だ」と思われるようにしましょう。
注意点:「すれ違い答弁」の病
公務員の世界には「すれ違い答弁」という伝統芸能があります。
ある主張に対しストレートに否定をするのではなく、あえて質問に答えないことで、やんわり否定する方法です。
「すれ違い答弁」の病が恐ろしいのは、「すれ違い答弁」が「物事を論理的に簡潔に書く」ことからかけ離れていることです。
ライティングスキルをロジカルシンキングとセットでアピールするにあたり、ご自身の面接での問答が「すれ違い答弁」にならないように十分に注意してください。
「すれ違い答弁」については、以下の記事で解説していますので、是非ご覧になってみてください。
まとめ
この記事では公務員の「ライティング」について解説しました。
文字での意思疎通は、電子化が進んだ今日でも盛んであり、ライティング・文章作成のスキルは現在でも有効です。
公務員が色々な種類の文書作成をした経験は、ビジネスマンとして基礎的な能力が備わっていることの証明でもあります。
公務員から民間企業への転職にあたっては、自分自身の得意とするコミュニケーション領域を見直して、業界・職種を選ぶ要素にしても良いかもしれません。
自分自身の強みと、業界・職種のマッチングには転職エージェントを利用することが近道です。世の中には多くの転職エージェントサイトがありますが、公務員から民間企業への転職にあたっておすすめの転職エージェントを以下のページでまとめています。是非ご覧ください。
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