公務員は手当が手厚いと聞きましたが
例えば、扶養手当とか住居手当は今後なくならないでしょうか?
その2つは、ヤバいかもな。
!!!!
公務員には色々な手当があります。
その中でも、多くの公務員が対象になっているのが
「扶養手当」と「住宅手当」です。
扶養手当は、職員に扶養する親族がいる場合に属性・人数等に応じて支給される手当です。
住宅手当は、職員が賃貸住宅に居住する場合に賃料の一定割合を補助する手当です。
この2つの手当の特徴は、
「公務員自身の仕事の内容・実績とは関係なく支給される」ことです。
その他の手当は、職位や業務内容に応じた手当がほとんどです。
扶養手当・住宅手当が創設された背景は諸説あるようです。
主には戦後の物価上昇を背景に、
扶養親族を持つ職員や官舎に入居できない職員への支援策として創設されたようです。
現在では制度ができた当時とは環境が変わっており、
手当として支給する理由に乏しくなっているとの指摘もあります。
そこで今回は、扶養手当と住宅手当についての今後の見通しを解説します。
- 扶養手当・住宅手当制度の今後の見通し
- 国での検討状況
この記事は、こんな方におすすめです。
- 手当制度の見通しを知りたい公務員の方
- 公務員を続けるか転職するか検討中の公務員の方
- これから公務員への就職、転職を検討している方
扶養・住宅手当は廃止される可能性は「ある」
扶養手当・住宅手当が今後廃止される可能性は「あります」。
記事冒頭でこの2つの手当の特徴は、
「公務員自身の仕事の内容・実績とは関係なく支給される」ことと書きました。
公務員の給与を負担する国民の目からすれば
「成果を出す公務員」
「困難業務にあたる公務員」
に手厚い報酬を出したいと考えるのが自然です。
「家族を扶養する公務員」た
「賃貸マンションに住む公務員」に
追加的に報酬を払いたい理由はありません。
例えば、
基本給や能力、仕事内容が同じ2人の公務員がいたとします。
【家族】配偶者(扶養) | 【住居】賃貸住宅【家族】独身(扶養者なし) | 【住居】持ち家
Aさんは賃貸住宅に住んで配偶者を扶養しており、
Bさんは自己所有の物件に住み、扶養する人がいない独身だとします。
するとAさんは
住宅手当(国家公務員で上限月28,000円)と
扶養手当(国家公務員で月6,500円)の
支給対象になります。
Aさんは、Bさんよりも給与が月額34,500円多くなるのです。
能力も仕事内容も同じであるにもかかわらず、
公務員の私生活の違いで月額34,500円、年間40万円超の差が生じます。
Bさんが何だかかわいそうに思えてきます…。
きちんと仕事をする公務員に高い給与を払うのは当然であるので
仕事内容に関係がない生活支援的な手当は、遅かれ早かれ廃止の流れになっていくと考えられます。
いわゆる「扶養の壁」は労働意欲を減退させているとの指摘もある。
いずれにせよ、古い慣習に根差した制度であることは間違いない。
国の意見交換会「廃止して基本給に広く反映すべき」
国の意見交換会でも、外部の有識者から
「扶養手当や住居手当をなくし、しっかり働いている人の給与水準を上げても良いのでは」
と意見がされています。
以下に、主な意見を引用してみます。
扶養手当や住居手当のような生活補助的手当について、戦後の物価高騰期のように、扶養手当がなければ生活できない状況ならば理解できるが、平時にあっては、本来の給与の在り方として、仕事を基礎として給与の増減があるべき。
引用:人事院「今後の公務員給与の在り方に関する有識者意見交換会(第5回)議事要旨」
扶養手当については、全く同じ仕事であるにもかかわらず、配偶者の就業状況や子の人数で給与が大きく変わるのでは、国民の納得も得られないのではないか。特に配偶者手当があること自体が、女性の社会進出を妨げている面もあり、大手民間企業の傾向も踏まえ廃止しても良いのではないか。
引用:人事院「今後の公務員給与の在り方に関する有識者意見交換会(第5回)議事要旨」
(扶養手当について)子の支援についても、本来は国民全体向けの施策で対応すべきであり、働いている人に対して雇用主が子どもの有無によって異なる給与を出すという議論にはならない。
引用:人事院「今後の公務員給与の在り方に関する有識者意見交換会(第5回)議事要旨」
※括弧内は筆者加筆
住居手当については、元々、宿舎入居者とのバランスを考慮し創設されたものだが、宿舎の見直し・廃止が進む中で状況が大きく変わっており、この際、廃止することも考えられる。
引用:人事院「今後の公務員給与の在り方に関する有識者意見交換会(第5回)議事要旨」
検討会での意見をまとめると、以下のとおりです。
【給与(基本給+諸手当)】
仕事内容を基礎として増減があるべき。
【扶養手当】
家族の状況で給与が変わることは、国民の納得を得にくい制度。
【住居手当】
元々は安く住める公務員宿舎を利用する人とのバランスを取るための制度だが、宿舎廃止が進むのであれば廃止が考えられる。
以上を踏まえると、
現在の「扶養手当」「住居手当」は今後見直され、
仕事内容・成果に応じた基本給への反映に変わっていくと考えられます。
現役公務員や公務員志望者にとっては
業務内容に関係がない「生活補助的な手当」を目当てに公務員を選ぶことは、今後できなくなるでしょう。
まとめ:扶養・住宅手当廃止→基本給UPへ
仕事内容に関係なく、公務員個人の家族構成・住まいの状況によって支給される「扶養手当」「住居手当」は見直され廃止される方向であると考えられます。
廃止された場合は何らかの方法で基本給等に反映されると考えられます。
しかしながら、現在は公務員に対する目は厳しいものがあります。
見直しによって人件費総額が増加するようなことは考えにくい(できない)ので、これまでの手当総額を広く薄く配分するような結果になるのではないかと予想しています。
「手当が美味しいから公務員」。
こうした理由で仕事を選ぶ人間が公職からいなくなるので良いことだ。
扶養手当・住宅手当の動向からは、今後の公務員待遇は「仕事内容・実績に対応した報酬」となるように変化していくと見られます。
しかし、上述のとおり公務員の人件費総額が増額になるような制度変更は、現実的にあり得ません。
結果が、公務員制度改革の趣旨に逆行してしまいます。
そのため、業績で良い評価を得る職員でさえ
「仕事内容・実績に対応した報酬体系」に代わった場合
それほど「旨味」は感じられない可能性が高いと予想しています。
そこで、現在公務員である方も、
中長期的には民間企業への転職を選択肢に含むことが
ライフプラン・キャリアプランを考える上で現実的です。
例えば、大手転職サービスのdoda
求人を閲覧したり、エージェントと面談して情報収集することも有効です。
もし興味のある求人があれば、話を聞いてみることも有意義です。
転職サイト・転職エージェントについては、以下の記事で解説していますので是非ご覧になってみてください。
転職を考えている公務員を対象としたものですが、参考になるはずです。
>>>公務員が初めて民間転職するときにおすすめの転職サイト5選
>>>公務員からの民間企業への転職におすすめの転職エージェント・スカウト
コメント