・公務員が仕事を選べない理由
・公務員が仕事を選べないことの悪影響
・公務員は仕事を選べないことに対してどう対応すれば良いか
・現在の担当業務が自分に合っていないと感じる公務員の方
・役に立つと思えない業務を担当している公務員の方
・人事異動で関心のない分野を担当することになった公務員の方
仕事だから「やれ」と言われればやるけど、何だか意味のない税金の無駄遣いの事業をやりたくないな…
その疑問、もう少し自分の気持ちを掘り下げて考えても良いかもしれないな。
公務員は日本国憲法第15条第2項で
「全体の奉仕者」であると規定されています。
「全体の奉仕者」役目は
行政を執行する大
臣・地方公共団体の首長の補助を
行うことです。
行政の執行を補助する公務員の仕事は
多岐にわたっています。
公務員の仕事には
民間企業ではできない経験もあります。
一方で「何を仕事とするか」は選べないのが現実だ。
その反面、公務員は「仕事を選べない」との指摘もあります。
行政の人事施策はゼネラリストを養成するように
部局・分野を跨いだ人事異動が一般的であるからです。
そこでこの記事では
「公務員は仕事を選べない」ことについて解説します。
現役公務員の方には、この記事が必ず参考になると思いますので
是非最後までご覧ください!
まずは「公務員が仕事を選べない」ことについての解説だ
公務員が「仕事を選べない」理由3選
公務員は“仕事を選べない”職業と言われる理由を3つ紹介します。
理由1:公務員の部局・分野を横断した人事異動(ジョブローテーション)
公務員は定期的な人事異動によって
所属する部局が変わることがあります。
部局が変わらなくても、
課や係、担当業務が変われば
これまでの業務知識の少なくない部分が役に立たないこともあります。
ゼロから知識の習得が必要になります。
3月末まで生活保護のケースワーカーをやっていた人が、
4月1日から土木事務所で許認可を担当することだってあります。
4月1日付け異動が多いので
特に4月の役所は「素人集団」に近い。
経験を積めば何でもない問合せを、その場人間が新任者ばかりで誰も分からないなんてことはザラだ。
異動にあたって、
大抵の場合は異動対象者と人事担当者との間で面談が行われます。
この面談が、異動希望先や勤務条件の制約などについて話す機会です。
しかし、希望したポジションに異動できることは
決して多くありません。
結果として、興味関心のない分野に関する業務を担当することも多いのが実情です。
違う部局の経理担当に異動なったけれど
部局の分野に関する知識も経理担当の知識もなくて
4~5月は本当につらかったな…
理由2:公務員の執行部たる立場
公務員は国会・地方議会で決まった法規・予算を
執行していく立場にあります。
そのため、制定された法律・条例や
予算化された事業は、
内容がどうであれ実行する必要があります。
民主主義の根幹たる部分だ。
「個人的には実施に反対している事業」が
組織・上司の判断によって実施が決まり、
自分が実行しなければならないことは、
どの仕事でもあるかもしれません。
その場合でも、内部の検討過程で議論の機会があることも考えられます。
しかし、行政の場合
「議員提案の法律・条例」はどうすることもできません。
最近の例では、
埼玉県の令和5年9月定例県議会で
自民党県議団が提出した埼玉県虐待禁止条例改正案があります。
埼玉県虐待禁止条例改正案は、
「小学3年生以下の子供の放置を一律に虐待」とし
「発見した者に通報義務を課す」などの内容から
県内外から批判が起こりました。
条例案は、自由民主党県議団HPに掲載されています。
県HPでは、条例案議案が撤回されため閲覧が出来なくなっています。
委員会も自公の賛成多数で可決させるも
批判を受けて、自民党県議団は本会議での採決前に条例案を撤回請求することになりました。
仮にこの条例案が撤回されず
自公の賛成多数で可決されていた場合を考えてみます。
埼玉県庁の児童虐待の担当者は、
どんなに条例の内容に異議があろうとも
条例に基づき施策を実行しなければなりません。
「やり方」は工夫の余地があるかもしれません。
しかし、自身の商品(=施策)に疑問を持つ状況で社会のためになる良い工夫ができるかは疑問です。
なお、条例案が可決した場合も首長が地方自治法第176条各項に基づき条例案の「再議」や最終的に「裁判所に訴える」ことができる。そのため、仮に本件が可決していた場合も直ぐに施策を執行することになったかは分からない。
この他に例を挙げると、
少し前には新型コロナウィルス感染症(Covid-19)に対する施策で
色々なものが行われましたが、
中には批判を呼ぶものもありました。
一つ例を挙げます。
複数の都道府県では
「医療従事者に感謝を伝える事業」を行っていました。
>>三重県|新型コロナウイルス感染症対策に関わる医療従事者への感謝と応援のメッセージが届いています
>>埼玉県|医療・介護従事者の皆さんに感謝の気持ちを伝えるキャンペーンでいただいたメッセージ
※また埼玉県を出して、埼玉県庁の方ごめんなさい。「コロナ対策 医療従事者 感謝」で検索した結果であり、他意はありません。
医療機関の業務が増大したことに伴い
医師会の協力を得るためのポーズの意味もあったと思います。
行政側では保健所の業務が逼迫する中、
少なくとも職員の誰かが、
官民問わず関係各所にメッセージの寄稿を依頼し、
取りまとめ掲載する作業を担っていた訳です。
「やる」と決まった以上、誰かがやる必要があります。
その誰かが自分であった場合に、施策の意義を消化できなくても、職務命令ですので実行する必要があります。
その結果、税金を基にした給与をいただくことになります。
理由3:公務員は「全員がお客さま」
昨今、従業員に対するハラスメントは報道や特にインターネットを介して批判の的となっています。
例えば、飲食店で強引な態度で従業員や周りのお客さんに迷惑をかけた場合「出禁」が可能です。
では、行政の「お客さん」は誰でしょうか。行政の「お客さん」は、行政区内に住民登録がある人全員です。
そのため、どんなお客さんであろうと、お客さんとして必要な対応をしなければなりません。
役所に訳の分からないことを言う人が来ても、公務執行妨害となるレベルでなければ公僕として窓口で初動対応にあたる職員が長時間対応することがしばしばです。
昨今はDXDXDXで、紙媒体の廃止と手続の電子化が進む。
業務効率が上がりそうに見えるが、ITリテラシーがない層へのフォローという仕事が代わりにできる。
公務員は今後、「(努力すれば何とかなるのに)自分ひとりではできない」という層への仕事が増えるでしょう。
公務員が「仕事を選べない」ことの悪影響
悪影響1:自分を騙さなければいけない
内容に不満があるとは言え、仕事です。
勤務時間中は職務専念義務がありますのでこれを果たすことで給料を貰っています。
ですが、
「こんなことしない方が良い」
「税金の無駄」と思えることを進めるには、労力が必要です。
自分の考えに蓋をして、淡々と手順をこなしていくしかありません。
そうすると、色々なところに不調が出てきます。
まず、自分自身のメンタルに影響が出てきます。
仕事は、体力的・精神的に大変であっても、目的と手段に対する理解と一定の報酬があれば頑張れるものです。
しかし、目的・手段の理解をできない状況で進める仕事は、どうしても後ろ向きな態度・感情を引き起こしがちです。
また、そうした感情下で進める仕事は「いざ」と言うときの踏ん張りが効かなくなりがちです。
悪影響2:他人を騙さなければいけない
部下や複数のメンバーと仕事をする場合、自分の考えと合わない施策だからと言って文句を言っていては組織として良い仕事をすることはできません。
このことは誰もが分かっていますので、部下の前では仕事をしてもらうために「こんな事業意味ない」とは言いません。
作成する資料も、事業の意義・効果をきれいな言葉で表現していきます。
本当は泥沼の事業でも、自分の考えに蓋をして、やってもらうしかありません。
悪影響3:自分の適性が分からなくなる
自分や他人を騙しながら「後ろ向きな態度」で仕事をしていると、自分ならではの「こだわり」を仕事に出力することがなくなってきます。
自分ならではのこだわりは転職活動で良く言われる「強み」です。
主体的に前向きに仕事に取り組み、自分ならではの考えや切り口で仕事をこなした経験ができないと、自分の職務における適性がわからないまま時が経過してしまいます。
あなたがなりたくない、「公務員」の身分にしがみつく中高年は、こうして生まれてしまうのです。
「仕事を選べない」公務員どうすればよいか?
「仕事を選べない」公務員は、ひたすら耐えていつの日か理想的な部署に異動できることを願うことしか出来ないのでしょうか。
「仕事を選べない」ことについての対処法を3つ紹介します。
・公務員である以上は受け入れる
・異動・担当替え等組織内で仕事を選ぶ
・転職で組織を変えて仕事を選ぶ
対処法1:公務員である以上は受け入れる
「仕事は仕事」と割り切れる方は、「仕事を選べない」ことを受け入れるのがおすすめです。
「仕事は仕事」と割り切れるのであれば、人並みにストレスを解消する行動が必要かもしれませんが、それ以外に特別なデメリットはないはずです。
ただし、仕事への「割り切り」が将来への「諦め」に変わってしまうと、「公務員の身分にしがみつく中高年」になってしまいます。
仕事と割り切りつつ、公務員として関わりたい分野に対する意欲を失わないことが大切です。
対処法2:異動・担当替え等組織内で仕事を選ぶ
総合職(事務系)公務員の人事異動について、優秀な人ほど部局をまたいで異動させ経験を積ませる傾向がいまだにあります。
そのため、主体的に早めにキャリアに「色」をつけるため、人事異動で特定の担当を強く希望し続けることも有効です。
希望するポジションに異動できる確率を上げるためには、希望先の職員の状況を知っている必要があります。
例えば、自分が希望するポジションの職員が異動して1年しか経っていない場合、通常当該職員は異動対象になっていないでしょうから、希望先のイスが空かず異動することはできません。
一方で、希望先ポジションの職員が在籍3~4年経っている場合は異動対象になっている可能性があります。
こうした場合は、そのポジションを強く希望することがおすすめです。
対処法3:強みを知り、転職で組織を変えて仕事を選ぶ
ある意味「劇薬」ですが、自分自身の強みを把握し、それを活かせる業界・企業に転職することも有効です。
公務員に限らずどの企業でもそうかもしれませんが、困難な仕事は優秀な人が任されます。
任される人にとっては、困難な仕事であっても自分の職務適性を発揮して解決できるものであれば、自分の強みを活かした経験になります。
しかし、困難な仕事が「ただのヤバい案件」の場合もあります。
上司としては、ヤバい案件を「なるべく穏便にやりすごしたい」ために、能力のある職員に任せることもあります。
「ヤバい案件だからこそ、現状を打破するために頑張るべき」という人もいるかもしれません。
しかし、1個人の意欲によってヤバい案件のマイナスをゼロに、そしてプラスにできるほど簡単であることは少ないはずです。
ヤバい案件に職歴を割いてもなお、公務員として将来手に入れたい・実現したいことがあるのであれば、こなすしかありません。
しかし「公務員以外の選択肢もある」と考える場合は、出来る限り早く強みを見つけて、自分が最も活きるフィールドに移ることも有効です。
まとめ:公務員は仕事を選べないが自分の立ち位置を選ぶ
この記事では、「公務員は仕事を選べない」ことについて以下のとおり解説しました。
- ▶ 公務員が仕事を選べない理由
-
- 頻繁な部局をまたぐ人事異動
- 執行部の立場
- みんなが「お客さん」
- ▶ 「仕事を選べないこと」の悪影響
-
- 自分を騙すことになる
- 他人を騙すことになる
- 自分の適性が分からなくなる
- ▶ 「仕事を選べない」公務員ができる対策
-
- 仕事と割り切って受け入れる
- 異動・担当替え等組織内で仕事を選ぶ
- 転職で組織を変えて仕事を選ぶ
公務員は内閣や首長を補助し事務を行う機関である以上、方法に不満があっても政策を実行するしかありません。
しかし、配置替え・異動、転職の方策をとることで、事態を改善することが可能です。
ただし、配置替え・人事異動は一時的な回避策に過ぎないことは注意が必要だ。
異動してしまえば、また同じ悩みに遭遇する。
頻繁な人事異動がある以上、
配置替え・人事異動は一時的な回避策に過ぎません。
そのため、「仕事を選べない立場」であることに気付き、労働者を続けるにあたって問題点だと認識してしまった方は、中長期的には転職することがおすすめです。
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