給料・通勤時間・やりがい・むずかしさ…
仕事を選ぶ要素は色々とあるけれど
満足度が高い仕事ってあるんだろうか?
研究では満足度の高い仕事と共通の要素を分析したものがあります!
皆さんは現在の仕事に満足しているでしょうか?
(首を全力で横に振る)
仕事に対する満足度は、生活に対する幸福度にも相関があると言われています。
転職時に「満足度が高くなる要素がある仕事」を選ぶことで、転職活動が「成功」と思えるとともに、私生活も充実していると思えるのです。
したがって、満足度の低い仕事を選ぶと、私生活も「最近上手く行っていない」と思えてしまう懸念があります。
そこで今回の記事では、アメリカの研究者の研究を参考に、満足度・幸福度が高い仕事とその特徴を紹介していきます。
- 満足度・幸福度が高い仕事
- 満足度・幸福度が低い仕事
- 公務員の満足度は高いのか?
- 転職活動にどう活かせばよいか?
この記事は、こんな方におすすめです。
- 公務員の仕事に満足できず悩んでいる方
- 公務員からの転職を考えている方
- 転職活動を始めた公務員の方
転職を考えている公務員の皆さんも、転職先を選ぶ視点として「満足度を高める」ことも参考にしてみてください。
満足度・幸福度が高い仕事は?
アメリカの研究(TomW.Smith(2007)Job Satisfaction in the United States。以下「研究」と言う。)に、職種ごとの「仕事に対する満足度」「生活における幸福度」について研究したものがあります。
この研究では、アメリカの職業分類(TheUS Census Classification of Occupation(1980edition))の500以上の職業カテゴリのうち、調査に足るだけの労働者が雇用されている198の職業について「仕事の満足度」「全般的な幸福度」を測定しました。
参考文献
TomW.Smith(2007)Job Satisfaction in the United States
https://www.gbdioc.org/images/stories/Vocations/PDFs/Job_Satisfaction_Survey_2007.pdf
※日本語への翻訳は当記事筆者による。
満足度の高い仕事
研究で示されている満足度の高い仕事の上位12は、以下の通りです。
順位 | 職種 | 平均スコア(1~4)(※) | 非常に満足している人の割合 |
1 | 聖職者 | 3.79 | 87.2% |
2 | 理学療法士 | 3.72 | 78.1% |
3 | 消防士 | 3.67 | 80.1% |
4 | 教育管理者(例:学部長、校長) | 3.62 | 68.4% |
5 | 画家、彫刻家及び関連職種 | 3.62 | 67.3% |
6 | 教師 | 3.61 | 69.2% |
7 | 作家 | 3.61 | 74.2% |
8 | 心理学者 | 3.59 | 66.9% |
9 | 特別支援学校の教師 | 3.59 | 70.1% |
10 | オペレーティングエンジニア(運用保守) | 3.56 | 64.1% |
11 | 管理職 | 3.55 | 60.8% |
12 | 警備、金融サービスの販売員 | 3.55 | 65.4% |
(※)スコアの1~4は、非常に不満:1、不満:2、満足:3、非常に満足:4の4段階。
この結果から、満足度の高い仕事が有する特徴は、以下のいずれかを含む「専門職」であると分かります。
・他人の世話をする
・教える
・保護する
・創造的な追求を伴う
一方で、同研究で満足度の低い仕事は以下のとおりで、サービス職、事務作業・単純労働の仕事という共通点があります。
順位 (ワースト) | 職種 | 平均スコア(1~4) | 非常に満足している人の割合(%) |
1 | 屋根職人 | 2.84 | 25.3% |
2 | ウェイター・サーバー | 2.85 | 27.0% |
3 | 建設以外の肉体労働者 | 2.86 | 21.4% |
4 | バーテンダー | 2.88 | 26.4% |
5 | 手作業の包装作業者 | 2.88 | 23.7% |
6 | 貨物、荷物の取扱者 | 2.91 | 25.8% |
7 | アパレルの販売員 | 2.93 | 23.9% |
8 | レジ打ち | 2.94 | 25.0% |
9 | 調理師 | 2.95 | 23.6% |
10 | 督促係 | 2.97 | 37.0% |
11 | 精肉業者 | 2.97 | 31.8% |
12 | 家具・家庭用品の販売員 | 2.99 | 25.2% |
幸福度の高い仕事
研究では、仕事の満足度と併せて普段の「幸福度」も分析しています。
幸福度が高い仕事上位12は、以下の通りです。
順位 | 職種 | 平均スコア(1~3)(※) | 非常に幸せと回答した人の割合(%) |
1 | 聖職者 | 2.61 | 67.2% |
2 | 消防士 | 2.57 | 57.2% |
3 | 交通チケット&予約担当者 | 2.55 | 56.5% |
4 | 建築家 | 2.52 | 53.5% |
5 | 特別支援教育の教師 | 2.51 | 52.6% |
6 | 俳優・監督 | 2.49 | 51.0% |
7 | 科学技術者 | 2.47 | 51.0% |
8 | メカニック・修理士 | 2.47 | 53.6% |
9 | 産業エンジニア | 2.47 | 48.4% |
10 | 航空機パイロット・航法士 | 2.45 | 49.1% |
11 | 建築資材販売員 | 2.45 | 55.9% |
12 | 家政婦・執事 | 2.45 | 57.7% |
(※)スコアの1~3は、あまり幸せでない:1、幸せ:2、非常に幸せ:3、の3段階。
幸福度で高くランクインしている職種の特徴として、以下のことが挙げられます。
・他者を助ける仕事
・技術・科学知識を要する専門職
・創造性を要する専門職
また、聖職者、消防士は上述の満足度と幸福度の両方で上位になっています。
一方で、幸福度が低いものとしてランクインしている職業は以下の通りで、主に未熟練の手作業・肉体労働者やサービス職です。
順位 | 職種 | 平均スコア(1~3) | 非常に満足している人の割合(%) |
1 | 自動車修理工場・ガソリンスタンド店員 | 1.78 | 13.2% |
2 | 屋根葺き職人 | 1.88 | 14.2% |
3 | 成形・鋳造機操縦者 | 1.92 | 11.1% |
4 | 建設労働者 | 1.94 | 18.8% |
5 | その他の建設業界従業員 | 1.97 | 22.1% |
6 | 福祉サービス補助者 | 1.98 | 18.4% |
7 | アミューズメント・レクリエーション従業員 | 1.98 | 15.7% |
8 | (ホテルの)メイド・ハウスキーパー | 1.99 | 22.8% |
9 | プレス機械作業者 | 1.99 | 23.5% |
10 | 電子機器の修理士 | 2.00 | 15.7% |
11 | キッチンワーカー、調理補助 | 2.00 | 20.8% |
12 | その他の機械操縦者 | 2.02 | 17.3% |
他者を助け・専門性がある仕事が満足度・幸福度ともに高い
この研究はアメリカの研究なので、日本とは人々の選好性、満足に感じる要因等の差異が考えられます。
それでも、満足度・幸福度が高い仕事の並びを見て、「他者を助ける仕事」「技術・科学知識を要する専門職」、「創造性を要する専門職」といった要素が影響することは、感覚的に納得できるのではないでしょうか。
「専門性がある職業」を目指す
研究から示唆されることとして、
満足度・幸福度が高い職業に就きたいのであれば何かしらの「専門職」を目指すこと、が言えます。
専門職といっても国家資格を取ろうということではありません。
「この分野は○○さんが相当詳しい」というものを作り、組織の中で専門性を発揮することも有効と考えられます。
また、「この分野は○○さんが相当詳しい」を複数習得し、それらを「掛け算」して活かせると尚良いです。
例えば、情報システム部門の経験がある公務員であれば、「ITの知識」と「公務員経験」を掛け合わせて「官公庁を顧客にしたITコンサル部門」での活躍が考えられます。
反対に、公務員の一般的イメージである「ゼネラリスト」「定例的な事務手続を担当」の場合、満足度や幸福度は高くならないことが推測されます。
また、満足度・幸福度が低い方の職業も、就労環境や時の変化によっては創造的な専門性を発揮できる機会が想定できそうな職業も見られます。
例えば、「ウェイター」ですが、ただ注文されたお酒を指定のグラスに入れるだけでは専門性の欠片もありません。
しかし、酒類に関する知識に富み、サーブ時の身体・手指のこなし方が優れているウェイターは明らかに他と一線を画します。
また、「アパレル店員」も近年のインスタグラム・TikTokの登場でショート動画全盛期となったことで、インタネット上で「タレント化」する店員もいます。
したがって、名実ともにわかりやすい「専門職」はもちろんのこと、時代の動向によってはどの職業でも小さい市場で良いので刺さる専門性があると、上述の専門職と同様の満足度を得られるかもしれません。
公務員在職中は「担当業務を極める」
中途採用者は新卒採用者と異なり、教育コストが低く即戦力であることが期待されています。
当然ですが、「専門職に転職してから専門性を習得しよう」と考えたのでは内定は得られません。
専門性のある職業に転職することを目指すのであれば、「その専門職で特に有効なスキル」や「その専門職を含むビジネスパーソンに共通して有効なスキル」を自分自身の「強み」と照らし合わせて、意識的に向上させることが必要です。
そのためには、公務員である間は「強みを活かして担当業務を極める」ことが、専門性のある職業への転職を通じて満足度・幸福度を高める近道と言えます。
公務員は未経験の部署への異動が少なくないので、スキルアップを目指して業務を極めるにも、定期的に強制リセットされてしまう。そのため、異動のタイミングには気を配りたい。
まとめ
この記事では、アメリカの研究を参考に「満足度・幸福度が高い仕事の特徴」を紹介し、公務員が転職活動する際の応用について解説しました。
- ▶ 仕事の満足度
-
満足度が高い仕事の特徴:他人の世話をする、教える、保護する、創造的な追求を伴う
(1位:聖職者、2位:理学療法士、3位:消防士)
満足度が低い仕事の特徴:サービス職、事務作業・単純労働の仕事
(ワースト:屋根職人 2位:ウェイター 3位:肉体労働者) - ▶ 普段の幸福度
-
幸福度が高い仕事の特徴:他者を助ける仕事、技術・科学知識を要する専門職、創造性を要する専門職
(1位:聖職者、2位:消防士、3位:交通チケット&予約担当者)
満足度が低い仕事の特徴:未熟練の手作業・肉体労働者やサービス職
(ワースト:ガソリンスタンド店員 2位:屋根葺き職人 3位:成形・鋳造機操縦者) - ▶ 「専門性がある職業」を目指す
-
研究からは、仕事の満足度・普段の幸福度を高めるには専門職への転職が有効と言える。
一方で、ランキングワーストに入った職業でも、就労環境・時の変化によって専門性を発揮する機会が訪れる。 - ▶ 公務員の間にできること
-
現職の間に「担当業務を極める」ことを通じてスキルアップすること。
専門性のある仕事、他者を助ける仕事等の求人を効率的に探すには、転職サイトや転職エージェントを利用することが効率的です。
サービス毎に求人の「守備範囲」が異なるため、経験年数等に応じて複数登録しておくことがおすすめです。
おすすめの転職サイト・転職エージェントについては、以下の記事で解説していますので是非ご覧ください。
▼▼ こちらの記事もおすすめ ▼▼
◆公務員が転職で活かせるビジネススキルを知りたい人におすすめ
>>「公務員の武器」シリーズ(カテゴリーページへ)
>>【公務員の強み・特徴の見つけ方】転職活動で使える探し方を解説
◆公務員から民間企業への転職について情報収集したい人におすすめ
>>【公務員が仕事を選べないことの悪影響】やりたくない・つまらないの解決方法
>>公務員より民間企業の方が向いている人
>>公務員を辞めたい人へ
コメント